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zoom RSS iPod日記(430)-故郷の町が被災して(2)

<<   作成日時 : 2011/09/12 10:47   >>

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 昨日大震災から半年が経った。家族や肉親を亡くした方々の心中は察して余りある。まだまだ心の整理がつかない方が多いのではないかと思う。幸いにして私は故郷大船渡にいた両親や叔母や伯母などの肉親は、無事であった。特にその中でもろに大津波の被害に遭った両親が運良く避難し、無事であった。
 被災2週間後に訊いたら、父の避難経路は、私が予想していたものとは違っていた。

 私の実家は元々笹崎という地区だったが、人口が増えてから浜町と南笹崎、北笹崎の3つの地区に分かれた。実家はそのうちの浜町という地区にあった。南笹崎はすぐ近くの高台にあり、北笹崎との間に大船渡小学校がある。大船渡小学校は、少し高台にあり、避難所にもなっている。歩いて逃げるなら、普通の人で5分で行ける大船渡小学校に避難するのが普通である。または、北笹崎の本家(元々実家の隣にあったのを数十年前に移転した)かその後ろにある加茂神社の丘に逃げるのが普通である。
 車がなかった50年前だったら、多分私の予想した避難路で歩いて着の身着のまま逃げたと思う。実際昭和35年5月24日のチリ地震津波の時はそうして逃げた。家は流されたが、母と祖母は乳飲み子だった弟たちを抱えて、私は本家の伯父さんに連れられて逃げて無事だった。
 ところが今回は事情が違っていた。地震が巨大であったこと。80歳になる母は高齢化してそう速くは逃げられない。家を流された後に身を寄せられそうな親戚の家は、皆北の方角2km以上北にある。当時81歳だった父は、大きな津波が必ず来ると確信した時点で山側の高台を走る国道45線ではなく、海岸寄りを走る県道を車で通り、大船渡町と盛町の境の丘にある祖母の実家に避難することを選択した。

 国道45線は、避難する車で渋滞になり、車ごと流されてしまった人、逃げようかどうか様子を見ていて流されてしまった人が沢山出てしまった。特に今までの津波では国道より海側を走るJR大船渡線の線路を越えなかったから、線路より西側の方向にある北笹崎、川原、明土(あくど)、田中地区の人は逃げ遅れて被災してしまった人が多い。北笹崎にある私の家の本家の伯父さん、伯母さんは津波に流され、伯母さんはいまだに行方不明である。

 結果として旧道とも言われる県道を北に走って大船渡町の北の外れの丘に避難した後まもなく大津波が押し寄せて、両親の目の前まで来たそうだ。5分ぐらいしかなかったそうだから、地震後大津波が来る30分のうちの5分間で生死を分けたことになる。

 高等小学校卒で海軍志願兵になり、戦後船大工として生きた父は、学問はないが、物事を冷静、かつ的確にに判断する力はある。国道と同様海側の県道も次第に渋滞したらしいが、逸早く判断して逃げたことが貴重な命を救ったのである。おまけに地区の行政連絡員を何年か務めていた父は大事なものを書類用の小さな鞄に入れてそばに置いていた。銀行や農協の通帳や印鑑などを持って逃げたので、着の身着のままだったが、叔母宅に避難した後も当座のお金には困らなかった。

 両親は、5月1日から千葉県鎌ヶ谷市の私たちが2年前まで住んでいたマンションに命を救ってくれた軽自動車と共に住んでいる。鉄筋コンクリートの大規模マンションだから、仮設住宅よりは、住み易いと思う。生活の便もそう悪くはないので、自力で生活出来ている。父の弟たち(私からみて叔父)や息子たち(我々3人兄弟)は、皆関東に住んでいるので、何かと心強い。その中で長男である私は、一番近くに住んでいるので、毎週土日のどちらかに両親のマンションを訪れ、様子を見ては適宜助言や介助をしている。介助と言っても両親とも高齢ではあるが、自分たちで生活できるので、生活情報の提供や道案内などが主である。

 ネットで大船渡市の情報などを仕入れては、両親に提供しているが、一番両親が気にしているのは、長年住んでいた浜町の人たちがどうなっているかということだ。全世帯被災した浜町地区の人たちは、皆他の地区に避難してその地区には誰も住んでいないからだ。町がなくなるというのは、単に建物がなくなるだけではないのである。心の拠り所がなくなることでもあるのだ。
                                      つづく
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2011年7月27日 飛鳥Uと浜町地区

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